【香港の歴史旅】かつて尖沙咀にあった「九龍の玄関口」旧九龍駅をたどる

生活

香港・尖沙咀のビクトリアハーバー沿いに、かつて「九龍駅」と呼ばれる大きな鉄道ターミナルがあったことをご存じでしょうか

現在は時計台だけが残るこの場所は、香港と中国本土を結んだ九廣鐵路の南端駅として、香港の交通と街づくりを支えてきました

本記事では、旧九龍駅のロケーションと移設の歴史を、写真とともに分かりやすく紹介していきます

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旧九龍駅のロケーション:尖沙咀のどこにあったのか

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Photo source: Hong Kong Cultural Centre

旧九龍駅は、九廣鐵路(Kowloon–Canton Railway, KCR) の南側終着駅として、香港と中国本土(広州方面)を結ぶ重要な玄関口でした

その駅舎は、いまもあるSalisbury Roadの南側、現在の香港文化中心(Hong Kong Cultural Centre)敷地に位置していました

いまもその名残である時計台が残っているので、当時の写真と重ねてみるとその位置関係がわかりやすいです

また、スターフェリー尖沙咀埠頭のすぐ東隣という立地は、当時としては非常に合理的でした

というのも、いまでこそ九龍側も著しい発展を遂げているものの、当時は特に「香港」といえば香港島の方を指し、経済的、文化的な機能は香港島側に集中していたからです

つまり列車に乗ってきた乗客のほとんどは、駅を降りたら、スターフェリーで香港へ渡るのが一般的なルートでした

こうして、旧九龍駅という鉄道ターミナルは、同時にまた海と鉄道の接続点でもあったわけです


九龍駅の誕生:イギリス統治下の近代ターミナル

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建設直後の様子(1915)、Photo source: Zolima Citymag

九龍駅は1916年に完成しました

建築を手がけたのは、英領マラヤやビルマでも駅舎設計を行った Arthur Benison Hubback

建物の特徴は・・・

  • エドワード朝古典様式(Edwardian Classical Revival)
  • 赤レンガ造り
  • 花崗岩の柱と装飾
  • シンボルとなる時計台(今も現存)

この駅は、単なるローカル駅ではなく、「アジアと中国をつなぐ鉄道と海運の国際物流ターミナル」という位置づけでした

Historical Photos
(1930-40年頃の様子)Photo source: Hong Kong Cultural Centre

20世紀中葉に入りシベリア鉄道の完成によって、欧州からの長距離交通の終着点としてさらに盛り上がります

まさにその頃、1928年に香港のペニンシュラホテルが開業し「スエズ以東で最高のホテル」と評されます

鉄道ターミナルである九龍駅前の当時アジア随一のホテルを舞台に、中国・香港・シンガポールを股にかける豪商、銀行家、英国官僚、軍人などの社交場として、鉄道駅と一緒に栄えていきます


隆盛と衰退

Star Ferry and bus terminal in Tsim Sha Tsui with Canadian Pacific Liner , circa 1925
Photo source: Zolima Citymag

第二次世界大戦後、香港の人口と物流は急激に増加しました

特に中国「国共」の争いが激化するに伴い、多くの中国人が難民として押し寄せました

その中で、尖沙咀にある九龍駅は次第に問題を抱えるようになります

主な問題

  • 一等地のうえ駅用地が狭く、拡張が困難
  • 貨物・旅客双方の処理能力が限界
  • 尖沙咀が商業・観光の中心地へ変化

1957年、香港政庁は「九龍駅を別の場所へ移転させる」ことを正式に検討し始めます

またすでに民間機の活用が再開していた啓徳空港の海上埋立による新滑走路完成に伴い、鉄道という陸上移動の機能は色あせつつありました


紅磡への移設と旧駅の終焉

結局、1974年 九廣鐵路の南側終着駅は尖沙咀から紅磡湾(Hung Hom Bay、現在の紅磡駅)に移設されます

翌1975年、60年近く使われた尖沙咀の九龍駅は正式に廃止されました

当時、駅舎保存の大議論がありましたが、最終的には解体されることになり、跡地は文化・公共空間として再開発されます

現在は、香港文化中心がちょうどその駅舎部分、香港藝術館、香港太空館が駅舎にはいるレール部分にあたります

Destruction of Kowloon KCR railway station, 1978 : r/HongKong
Photo source: Reddit
Historical Photos
(1980s) Photo source: Hong Kong Cultural Centre

唯一残された旧九龍駅時計台

旧九龍駅の中で、唯一現存している建造物が「時計台(Clock Tower)」です

  • 高さ:約44メートル
  • 1915年完成
  • 法定古跡(Declared Monument)

この時計台は現在も尖沙咀のランドマークとして保存され、かつてここが「駅だった」ことを静かに伝えつつ、多くのシニア世代にとって忘れられない過去を語るモニュメントになっています


現在の旧九龍駅跡を歩いてみる

今、旧九龍駅跡を訪れると:

  • 時計台
  • 香港文化中心前の広場
  • ビクトリアハーバー沿いの遊歩道
  • スターフェリー埠頭

などが広がっています

もちろん列車の音は聞こえませんが、 100年前にはここから列車が中国へと伸びていた――

そう想像しながら歩くと、尖沙咀の風景が少し違って見えてくるかもしれません


まとめ:九龍駅は「香港の変化」を象徴する存在

尖沙咀の九龍駅は、

  • 植民地時代の技術と威信
  • 鉄道による国際接続の要所
  • 都市再開発による役割の変化

を一身に体現した場所でした

時計台を見上げるたび、香港という都市が歩んできた変化の大きさを感じずにはいられません

かつての写真を片手に、いまの尖沙咀を歩いてみてはいかがでしょうか

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 参考にした英語ウェブサイト(ブログ掲載用)

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