香港は中国の一部でありますが、1国2制度の原則が維持され、金融分野でも独自の政策をとっています
その最たるものが独自の通貨で、現在も(人民元ではなく)香港ドルが使われています
この記事では、その香港のお金の特徴についてできるだけ分かりやすく記事にまとめていきますので、皆さんの参考になればと思います
香港のお金はどの銀行が発行している?
日本の場合、紙幣の発行は中央銀行である日本銀行が発行していますが、香港の場合には中央銀行がありません
そこで3つの民間銀行が香港ドル紙幣を発行している比較的珍しい事例となります(因みに英国も同じ)
香港上海銀行(HSBC)、中国銀行(香港)、スタンダードチャータード銀行(香港)の順に流通額が多いです。
2019年時点では流通額のシェアは、HSBCが約6割、中国銀行がやく3割、SCが1割というもので圧倒的な差があります
同じ額面の紙幣でも、異なるデザインが流通しているため、初めは違和感を感じてしまいますが、それもまた楽しみに変わるでしょう
香港ドルの為替レートは?
民間銀行が紙幣を発行する際の取り扱いとして、カレンシーボードという為替政策をとっています
少し込み入った話ですが、発行紙幣の額面に対して1USD=7.8香港ドルで換算した米ドル額をHKMA(香港金融管理局)が運営する外国為替基金に預け入れ、同額の債務証書を受領することが求められています
またさらに香港は変動相場制を採用せず、通貨である香港ドルの価値を米ドルに対して固定し、1ドル=7.8香港ドルになるように管理されています
細かい仕組みはともかく、これにより香港ドルの発行紙幣が、米ドルにしっかり裏付けられることになります(ドルペッグ制)
元々、1983年に香港返還交渉の中で、香港の先行き不安から急激に香港ドルが下がった「ブラックサタデー」を機に起こった混乱を収束させるため当時香港政府が7.8香港ドルで連動させたのが始まりです
この結果、米ドルとの連動で為替相場は安定することになり、アジア通貨危機の際にも保有する豊富な外貨(USD)により長期に安定運用されているのです
その一方でデメリットもあり、それが金融政策の自由がないこと、特に金利も米国を追従せざるを得ないことがあります
香港と米国の連動する金利
ドルペッグ制を維持するためには、香港の政策金利は米国と連動せざるを得ません
というもの、仮に米国の利上げ局面で香港が金利を据え置けば、香港ドルは米ドルに対して魅力がなく売られるようになり結果為替相場で安くなるため、固定相場が維持できないからです
結果として、固定相場を維持するためには、追従して金利を引き上げ、香港ドルを買い戻す必要があります
為替の安定と引き換えに、金融政策の自由を捨てているということになりますが、米国経済と香港経済が必ずしも一致していないので、昨今の香港には米国の高金利が重くのしかかっているのです
とりわけ、アメリカの高金利が長引くことで、香港への不動産業・住宅販売への影響が大きく、設備投資や新規事業への借入も進まないといった負の側面もあります
香港に住む個人としては、特に借り入れる予定もなく定期預金で低リスクで利息収入があるので、この高金利状態を憂いてはいませんが・・・
まとめ
香港の3つの銀行が発行する紙幣をあらためて見てみると、そのデザインの種類に興味が持てますよね
間違いなくデジタル決済の波がきていますが、まだまだ現金社会の香港では紙幣の流通は当面のあいだ消えずに残りそうです
紙幣の発行から為替政策まで触れてきましたが、その特徴については独特なものが多いので参考になればと思います
では